折原宿・I様邸

【プロジェクトの始まり】

国道140号線から玉淀ダムの水門を望む折原橋を渡り、畑の間の細い道を少し進んだ先に宿プロジェクトの一軒家があります。

敷地面積は約120坪、建坪は約22坪、昭和48年に建築された3LDKの平家建です。玄関がある西側、サンルームが面する南側、柿や栗などの高木がある東側に庭があり、植物がいっぱいです。このほか約400坪の畑では無農薬野菜を育てています。

周辺にも畑が多く、昔ながらの大きな民家が点在しています。代々受け継がれた土地を守り、畑を耕して作物を育てる”農ある暮らし”が日常として続いている様子が伺えます。

近くを荒川が流れ、その上流の玉淀湖は穏やかな水面がエメラルドグリーンに美しく、カヌーやカヤックなどのアクティビティが盛んです。また寄居町から秩父方面に連なる広葉樹の山々は春には新緑、秋には紅葉と四季折々に色を変え、目を楽しませてくれます。

周辺にお店は少ないですが、長閑で優しい時間が流れる場所です。

長らく空き家であったこの物件との出会いは、オーナーご夫妻と我々の「想い」「タイミング」が合致した、まさに”ご縁”だったと思います。

【オーナー様とのご縁】

オーナーのI様ご夫妻です。

ご自分で設計し、寄居町にあるご実家の山から切り出した材木で建てたと誇らしげに話すご主人。隣町に移り住んだ今でも、町や地域との縁を切りたくないと売却ではなく賃貸にこだわるご婦人。

お二人は「預けるなら、この土地と建物を大切に使ってくれる人に委ねたい」という想いから自ら管理しながら利用者を探していましたが、時間が経つにつれて体力的にも時間的にも難しさを感じるようになり、若い人達に管理を任せたいと思うようになったそうです。

「合縁奇家」の活動は、2021年2月に緩やかに始まりました。活動理念はaboutに記したとおり、「想い」の詰まった物件を未来へ残すために管理・保全しつつ、自ら運用したり、物件を探している人とのマッチングをサポートすること。I様邸が空き家だと知ったタイミングは、我々が管理運用できる空き家を求めていたタイミングでした。そして、利益よりも土地や建物の保全を優先したいというオーナーご夫妻の想いは、我々を突き動かす原動力となりました。

空き家事業の実績がなく、若さと熱意だけでプレゼンする我々の活用計画をオーナーご夫妻はすぐに快諾してくれました。様々な要因とタイミングが積み重なり、良い信頼関係を築けたからこそ、今回のご縁に繋がったと思います。